連載コラムへ
2001年・管理人の博多旅
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<2001.11/10.11.12.13>
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マイルが貯まったので…
毎度お馴染み…
何でもありだぞ福岡は!
ここはどこ?
絶品なり!
朝食は朝粥で…
ここは小石原…
ここは日田の豆田町…
太宰府天満宮です
観世音寺…
自由行動の日…
リバレインへ
ただいま
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マイルが貯まったので…


マイルが貯まったので、貧乏性の管理人は旅に出ることにしました。
無論、貧乏性の管理人は、無料で行ける最大距離を目指します。結論は「九州まで行けるぞ!」ということになりました。「うちにいるのが一番」という出不精の管理人にとって、九州は外国に等しいくらい遠いのですが、貧乏性が勝ちました。

つぎに、管理人は福岡にいる学生時代の友人にメールしました。
普段は同窓会にも出席しないため、音信不通で行方不明中の管理人ですが、こういうときは唐突に姿を現すのです。じつは、この友人のi氏は最近メールを始めたところで、管理人が実験台になったという経緯があります。お察しの通り、北海道と九州の間で「メール届いたかあ?」と電話で確認するというやり取りを数回に渡って行い、一晩かかって開通したのであります。

i氏は、管理人と共同で卒業設計を作成した仲です。
(我々の計画では、札幌市の大半は見る影もなく無惨に変貌するはずでした…)
札幌の破壊に失敗したi氏は、現在は福岡市を変容させるべく、建築設計事務所の所長におさまっています。純粋に建築が好きで、純粋にITは嫌い、という判りやすい人です。そんなわけですから、i氏にメールチェックの習慣があるか疑問でしたが、たまたま魔がさしてメールをチェックしたらしく、すぐに返信がありました。タイピングも練習したようで、なかなかの長文。改行がないので読みにくいのですが、「佐賀牛」という文字に、管理人は引きつけられました。これで決まりです。

ところで、旅慣れない管理人は、旅行の手配などできません。
ドタバタしたあげく三泊四日のプランになりましたが、夕方到着で午前中の便で帰るという、実態は中二日しかない要領の悪い計画です。しかも、初日のホテルは未定です。でも、後の二泊は手配が出来て、初日も同等のホテルになるからということで、見切り発車しました。不安はありましたが、それでも嬉しい管理人は張り切って旅支度をしました。旅慣れないから大荷物です。もちろん、i氏へのおみやげなど入っていません。テンションだけが異常に高まった管理人の頭の中には、シンプルな言葉がこだましています。
「行くぞ福岡! 待ってろ佐賀牛!」

…つづく



毎度お馴染み…


毎度お馴染み、飛行機の窓に貼り付く管理人です。
快晴なので、眼下には白く煙を上げる有珠山が見えます。支笏湖の湖面は一部濁って変色しています。まだまだ大変なのです。周辺地区の虻田町に住む友人のことをちらっと思い出しました。彼とは一度電話で安否を確認したきりご無沙汰です。管理人が珍しく感慨に耽っている間にも飛行機は高度を上げていきます。

なんだか、耳が痛いです。
おお、なんということ! 管理人は必須アイテムの耳痛防止の使い捨てハイテク耳栓の装着を忘れていました。これはJALの通販で入手した画期的発明品で、耳官狭窄症の管理人は発明者にノーベル賞を進呈したいと思っているくらい有り難いシロモノなのです。その耳栓はバッグの中です。そのバッグは頭上の棚の中です。シートベルト着用サインが出ています。笑い事ではありません。管理人は泣いてます。

ベルト着用サインが消えました。
管理人は、目にいっぱい涙を溜ながらハイテク耳栓をつけました。むろん手遅れです…。泣いているので(現在進行形です)鼻水が出てきました(汚いなあ)。鼻を垂らしたままではみっともないので、鼻をかみました。すると、ドカンドカンと大きな音がして、左右の耳が通りました。管理人は生まれて初めて耳抜きに成功したのです。だから、今日は耳抜き記念日...(2001年11月10日)

雲のない空で、眼下に海が広がっています。
海しか広がっていません。海だけが見えます。管理人は富士山を見たかったのですが、それは反対側の窓です。窓際の席にこだわった管理人ですが、左右にこだわることを失念していました。その結果、延々と海を眺める管理人です。太陽が眩しいです。また涙がにじんできました。

飛行時間は2時間です。
大きく旋回しつつ、機体は海側から福岡空港へと高度を下げています。大丈夫、ハイテク耳栓が効いています。ポコンポコンと気圧が調整されます。痛くはありません。ところで、すぐ下に福岡市街が迫っているのですが、これで良いのでしょうか? このままでは、どこかのマンションの屋上に着陸しそうなんですが…。

…つづく



何でもありだぞ福岡は!


何でもありだぞ福岡は!と管理人は思いました。
飛行機が街なかの建物密集地に着陸したからです(すくなくとも、管理人にはそう思えました)。なんと申しますか、市街地なんだけど降りられたから降りちゃった、という印象です。これだけのことで決めつけるのはなんですが、福岡は油断ならんぞ、と管理人は思いました。(管理人には未知の土地ゆえ福岡の皆さんご容赦を...m(_._)m )

大荷物(なにが入ってるんだ?)にフーフー言いながら、管理人は到着ロビーに到着しました(あれ?)。やあ! 出口のすぐ向こうに懐かしいi氏の顔が見えます。奥様もご一緒に出迎えてくださるとは、まことに恐縮。感激した管理人は無闇にニコニコして、ぺこぺことお辞儀を繰り返して、「どもどもども」と手を振りながら、到着ロビー内のトイレに向かいました。だって機内は満席で、やたらとトイレに入る人が多くて…

トイレから出た管理人は大急ぎで出口に向かいました。i氏と奥様が「ようこそ」と声をかけてくださってます。ガラス越しなので聞こえませんが、たぶん、そう言ってます。管理人もサッパリした表情で愛想良く応え、足早に真っ直ぐお二人のいる出口の前を横切って、航空会社のおねいさんのところに向かいました。管理人は一枚の紙片をおねいさんに渡しました。謎の紙片を受け取ったおねいさんはロビーの奥に消えました。再びおねいさんが現れるまでの間、管理人はガラスの向こうにいる出迎えのお二人に愛嬌を振りまきました。いい加減、間が持たなくなった頃(といっても、ほんの1分間なのですが)おねいさんが小さな封筒を手に戻ってきました。

封筒の中身を受け取った管理人は、ついに(お待たせしました)到着ロビーから開放されました。すっかり間延びしたので、再会の挨拶はi氏の「それ何?」という感動の薄いものでした。「ナイフ」と管理人は答えました。「千歳空港で取り上げられちゃった」。アホでしょ? この時期に何だってそんなものを持ち歩くんだ? 管理人だって知りませんでしたよ。カード型のサバイバルツールが自分の財布に入ってたなんて…。

散歩すらしないくせに、管理人はサバイバルツールの類が大好きです。キーホルダーにも山ほどジャラジャラぶら下げて、キーが見つからないくらいです。空港で取り上げられたのはビクトリノックスのカード型ツールで、名刺サイズながらサバイバルには欠かせない爪楊枝とか糸通しとかをコンパクトに収納した逸品なのです。記憶はないのですが、管理人はそのツールを財布に入れて持ち歩いていたのです。たぶん、人跡未踏の喫茶店などで危機的状況に陥ったときに、さっと針に糸を通すかもしれないと考えたのでしょう…。

i氏の奥様は、噂通りの人だ、というふうに管理人を見ていましたが、期待に応えることができて良かったです。お二人に先導されて、3歩で空港の外に出ました。目の前がタクシー乗り場です。とても解りやすい空港で、管理人は感心しました。これなら方向音痴の人(管理人のことです)でも迷いません。福岡って解りやすいじゃん、と管理人は嬉しくなりました。浅はかにも…。

…つづく



ここはどこ?


ここはどこ? と管理人はi氏に聞きました。
「君の泊まるホテル…」との返事です。気のせいかも知れませんが、「とっとと降りろ」というニュアンスが含まれているようです。管理人一行は空港からタクシーに乗ったのですが、どこをどう走ったのか皆目わかりません。道路がみな曲線で、直角の交差点はなかったと思います。「中州ですよ」と奥様が助け船を出されましたが、管理人が「ナカスって何?」と聞き返す前に、タクシーから降ろされました。i氏は管理人をホテルのフロントまで誘導し、「チェックインして、その大荷物を預けるように」と指示しました。でも…。

管理人は、広くはないロビーとカウンタの横に並んでいる自動販売機がとても気になりました。初日のホテルは直前まで未定でしたが、たしか、翌日からの「国際クラスのハイグレードホテル」と同等のはずだったからです。滅多に旅行をしない管理人ですから、たまの贅沢ということで、今回は上から二番目のクラスのホテルを予約したのです(二番目というところが小心者です)。「国際クラスのホテル」には至れり尽くせりの自動販売機があるものなのでしょうか? ま、お待たせするのもなんですから、部屋には上がらず、荷物だけ預けて出発です。いよいよメインイベントのディナー、「佐賀牛」とご対面です!

いまや、管理人の頭には「佐賀牛」しかないのですが、i氏ご夫妻は遠来の客に博多の街を紹介しようと張り切っています。まずは「ナカス」をウロウロと回り、ポイント・ポイントで見所や時間帯別様相変化など、土地の人ならではの観察結果まで解説を下さいます。ええと、平面移動だけでなく、垂直移動も繰り返しました。管理人は失念していましたが、i氏は建築家です。それも、建築が好きで好きでたまらない建築家です。言い忘れていましたが、奥様も建築設備のプロで照明が専門です。管理人は今どこにいるかも解らないのですが、どうやら博多の主要な建築は上から下まで見学することになりそうです。アトリウムをいっぱい見ました。屋上庭園も見ました。幾つもの建物の中を通り抜けて、ときには路地裏まで入り込み、すっかり日の落ちた博多のまちを、さまよいました。

いつしか、ここは「テンジン」という所だそうです(この時点では、まだ「天神」と漢字では言えませんでした)。やっとi氏が「佐賀牛」のお店に向かうと宣言しました。管理人のために予約してくれた、とっておきのお店だそうです。管理人はぐっと落涙をこらえました。ああ、佐賀牛! i氏が「店はどっちだっけ?」。おいおい!

…つづく



絶品なり!


絶品なり! おまたせしました。今回の旅の目的である佐賀牛です!
とても静かでシックなお店です。個室だけの構成の落ち着いた雰囲気で、おねいさんは若くて綺麗で如才ない。案内された部屋は掘り炬燵式の座卓のある和室で、一見テラスに思える次の間がありました。照明はかなり暗いのですが、料理が出る前の時点で、すでにお薦めしたくなるお店です。皆さんも福岡に行くときには是非お立ち寄り下さい。は? 店の名前? 知りません…。場所は? わかりません…。料理は? おお!絶品でしたぞ、皆の衆! 高級そうな器に、ちまちまと盛り付けられていましたが、どれも上品で素晴らしい味でした。飲み物から始めましたが、タイミング良く、次から次へとおねいさんたちが運んできます。地元の珍味もありましたが、管理人には描写もできません。ただただ舌鼓…。

佐賀牛はコースの終盤近くに運ばれてきましたが、最初はトロの刺身かと思いました。管理人には一口の量ですが、霜降りの見事さに圧倒されて、さすがにそれはできませんでした。一切れずつ焼いては(まあ、なんて良い香り!)白ワインを楽しみながら頂きました。は? いかにも管理人はアルコールはいただけません。でも今日は運転しないし、帰って眠るだけだし、グラスワインなら調味料みたいなものだよとi氏が勧めてくれるし、牡蠣も出るからさあとか言ってくれるし、リストを見ながら、ボルドーとドイツとどっちにする?まで言われると、ま、いいかなあ…なんて。幸い、かなり小振りのグラスでしたし、口当たりも軽くて飲みやすかったし、なぜか酔いが回ってこないし、空けちゃいました。(じつは、翌日のフグ料理のときにもワインをボトルで頼みましたが、ここでの一杯はそれより高価なグラスワインでした)

今回の旅の目的である佐賀牛も頂きましたし、もうこれで北海道に帰っても良いのですが、考えてみるとさっき着いたばかりです。なにせ、あまりにあちこち踏破したので、管理人はすでに福岡を堪能した気分です。でも、明日は車で近郊を案内するとi氏が言ってくれるし、フグを食べたいとか思っちゃうし、なにより、とっても楽しいのです。タクシーで管理人をホテルまで送り、i氏ご夫妻は夜の闇に消えました。(それにしても、あの二人、どえらくアルコールに強いですぞ…)

初日のホテルは、まあ、それなりに面白かったです。エレベータの中のポスターに「お客様の声を受けて明るいホテルになりました」とかいう字面の、意味の判らんコピーがあったのですが、部屋に入って納得しました。本当に眩しいくらいに明るいのです、照明が…。どのくらい明るいかというと、部屋の隅で壁に向かって、しゃがみこんで腕時計の分解組み立てが出来るくらい明るいです。「明るい…、まんまやんけ…」と管理人は思いました。そこで、もう一つ、ポスターにあったコピーを思い出しました。「省資源」です。それはベッドサイドの案内書に別紙として詳細がありました。「備品のシャンプーとかを使わなければ省資源に協力できます」「シーツ交換しますかあ? 省資源に反しますけっどぉ?」という内容でした。楽しいなあ、福岡って。管理人は棚の奥深くに隠されていた電気ポットを取り出し(持参したコーヒーを淹れるためです。ちなみに、紅茶と砂糖とミルクも持ってきました)、コンセントをさがしてお湯を沸かしました。棚の中にあったのに、なぜか、ポットには水が入っていました。入れてくれたのかな、それとも…、おお!省資源か? 「何でもありだぞ福岡は!」

…つづく



朝食は朝粥で…


朝食は朝粥にしましたが、とても美味しかったです。
管理人は昨夜の感想をちょっとだけ反省しながら目一杯頂きました。ふだんは朝食抜きですが、旅先で料金に含まれている場合は食べられるだけ食べるのが貧乏性のサガです。メニューによると千円台の朝食ですが、とてもそうは思えない内容です。近くには携帯電話で話す関西弁が引きも切りませんが、あまり気にはなりませんでした。ただ、この朝食は別として、残りの二泊もここと同等のホテルかと思うと、ちょっと悲しかったです。食べ過ぎて苦しかったですが、管理人は早々とチェックアウトを済ませ、迎えに来てくれるi氏ご夫妻を待つ間、2階のティーラウンジで食後のコーヒーを頂きました。昨日のチェックインのときに、ここの無料コーヒー券を渡されていたからです。なんといっても無駄はいけません。「省資源」です。

i氏の運転する車に乗り、管理人は快適に福岡市内のどこかを走っています。おっと高速道路にのりました。これから山の中にある焼き物の里に向かうとのことです。車は頻繁に加速減速を繰り返し、右へ左へと車線を変更しています。気が付くとまわりの車もそうしています。なんで? なんで一定速度で走らんの? 高速道路なんですよお! せめて車線を保ってよう! 日曜日なので大型トラックなどは少ないのですが、やたら混雑しています。誰も車間距離という言葉は知らないみたいです。爽やかな快晴のドライブ日和、思わず管理人は天を仰ぎました。この高速道路はサーキットなのかも知れない。ル・マンの例もあるし…。

高速を無事おりて、車は山間道路を走っています。柿がたわわにそこここの庭先に実っています。間引かないのでブドウの房のようになったオレンジ色の固まりが、枝をたわませています。杉林もそうですが、北海道人にはとても新鮮な景色です。それにしても細い山道です。そのうえヘアピンカーブの連続です。先が全然見えません。突如現れる対向車とはすれすれに交差していますが、どちらも速度を落としません。おまけに自転車がやたらと走っています。なんですかゼッケンをつけていますよ。は? 今日はロードレース? i氏自身もしばらく前まではこのレースに参加していたそうです。管理人は引きつった顔で相づちを打ちましたが、なんどか悲鳴を上げたかも知れません。柿にヘアピンカーブに自転車に対向車…。脈絡無いですが、「何でもありだぞ福岡は!」

…つづく



ここは小石原…


ここは小石原です。街道沿いは延々と窯元だらけで焼き物だらけ…。作家的な窯元しか知らない管理人には、産業になるとこうなのかぁ、という感慨に耽るのが精一杯であります。何に使うのか、巨大な急須などという信じられんものが並んでいて、ケースに納めてピンスポットでも当てたいような結構高価そうなものまで屋外にワゴンセールみたいに野積みされています。陶器に興味はありますが、こうまで大量ですと目はウロウロするばかりで、なんだか胸もいっぱいになって、手も足も出ません。

陶器がいっぱい
大物もいっぱい
巨大な急須

街道のはずれにある、ちょっと奥まった窯元に寄ってもらいました。客が誰もいないので落ち着けるかと思ったからです。店番はうら若き女性が一人だけ…。管理人の超小型高級デジカメに興味を持って、向こうから声を掛けてきました。あれこれ話しているうちに、窯を見て行けと言い出しまして、そのときたまたま店に来た知人(?)に案内させるということに…。(結局、その案内人が何者なのかは不明です)。登り窯は空でしたが、もう一つの窯は冷ましている最中で、センサーがつながれていました。ちなみに、燃料の木材の中には、タケちゃん会員が見たら目をむきそうな古い立派な梁材などが混ざっていました。

これから窯へ
登り窯
センサー

…つづく



ここは日田の豆田町…


ここは日田の豆田町、歴史的町並みが保存されています。
細い街路にぎっしり並んだ瓦屋根がお見事です。所有者は何かとたいへんかと思いますが、落ち着いた町並みでそぞろ歩くとそれだけで心安らぐ想いです。この狭い道に自動車が入らないのであれば…。わぁー!危ないったらありゃしない! ここはお雛様も名物です。時期が外れていましたが、本命以外はいつでも展示されているようです。お昼は豆腐懐石風のランチメニューにしました。やはり歴史的建物の中で頂くお食事は結構なものです。と思ったら、本日開店の新築でした。何事も思い込みは禁物です。

豆田町
歴史的町並み
ペリエと和菓子…
管理人の奥さま・管理人・i氏・i氏の奥様
<撮影禁止の草野本家にて>

管理人はこの町で富有柿を買いました。柿は管理人の好物でして、あちこちの樹に無造作になっているのを見ている内に我慢できなくなったのです。歴史的町並みと無関係の八百屋さんで、なんとも味気ないJAの段ボール入りですが、22個で600円でした。ずっしり重いです。駐車場は遠いです。

再びドライブです。途中でi氏が携わった建築をちょっと見て、またしても混沌の高速道路にのりました。来るときよりも混んでいて、混沌の度合いも増していました。管理人が退屈しないように、i氏はいろいろと話しかけてくれましたが、管理人としてはむしろ運転に集中して頂いた方が…。それから駐車場でi氏の車のタイヤを見てしまった管理人は心配の種が増えていたのです。本人にはタイヤの溝が見えているようですが、管理人にはひび割れしか見えませんでした。あ、キックダウンした! どうなる管理人!

…つづく



太宰府天満宮です


太宰府天満宮です。無事に着きました…。
門前市を成すというやつですな。とっても賑やかです。初詣の時は身動きがとれないほどの状態になるそうです。i氏が妙に嬉しそうで、足早にさくさく進みます。聞くと、大好物の「梅ヶ枝餅」が食べられるのでワクワクしているのだそうな。お目当てのお店はかなり奥のようです。

(きょこ会員の情報のお店だったのかも…)
今ごろ、ノーンびりとした紅葉を楽しんでいらっしゃるのでしょうか?
梅が枝餅はちょっと奥の方だけどお石の茶屋で召し上がれ。梅林の奥の行きどまった所に、外に赤い毛氈と赤い傘のあるお休み所がありまして、そこで焼いてもらったお餅と番茶をいただくのがいいのです。よく、ツッカケ履きで行っておりました。近くに住んでいたもので。

梅ヶ枝餅のつぎは光明禅寺の「茶室」を見よう、とのこと。突き当たりを右に折れてお寺の境内へ。

その先に細い小道が山の林の方へ続いてまして、くねくねてっぺんまで昇るとお稲荷さんがあります(だったはず。)忘れちゃいましたが、もっと先へ行くと縁結びの神様の祭ってある祠があったと思いました。とても人の多い大宰府ですが、裏のほうへはなかなか行く人はいないので、ひっそりとして風情があります。特に秋はとてもきれい。

ちょっと違うかも知れませんが、お寺の庭の紅葉は見事でした。もちろん「茶室」は閉まっていました。そんなもんですよ…。

お寺の庭の紅葉
別の茶室
飛び梅

天満宮は威厳ありました。二礼二拝一礼で七五三で遊園地でした。(すみません、ちょっと疲れが出て…)ちょうど七五三なのでおめかしした親子連れが多かったです。管理人はVectorWorksClub北海道の会員の皆さんに(勝手に)なりかわりまして、気前よくお賽銭を(i氏の奥様が)放り込み、思いつく限りのいろいろなお願いをしました。(これにより得られる御利益は会員特典ですので、存分にご活用ください)。でも、隣で「ご縁があるように5円にしよう」とか「いやいや、じゅうぶんご縁があるように奮発して15円だ」とかの声が聞こえて、気が散りました。ところで、なぜ、神社に遊園地があって、観覧車まであるのか判りません。まあ、あるものはあるんだから仕方ありませんね。やっぱり「何でもありだぞ福岡は!」

…つづく



観世音寺…


観世音寺は天満宮の隣にあるようなものですが、ちょっと侘びしかったです。
古代史を飾った斉明天皇、そして天智天皇…。こんなものなのかなあ。すでに日は落ちて、照明さえないので真っ暗闇です。それでも管理人は敷地内を一巡し、高校生らしきカップルが痴話喧嘩しているのも無視して、強引に古代に浸ろうとしましたが、無理でした。でも、ま、来て良かったです。管理人は満足です。古代と現代が別物ではなく、連続しているのだと実感できました。あの高校生カップルのおかげです(絶対に別れると思います)。

観世音寺のすぐ隣には大宰府政庁跡があります。こちらは礎石だけだけど空間のイメージが湧いてくる、というi氏のお話でした。日常的な散歩道にそうそうたる歴史が並んでいて、九州は日本への文化の入り口なんだな、と実感させられます。ある意味、それは現在でも変わっていないと思います。しかしながら、大宰府政庁跡も真っ暗です。よって、前を素通りしただけでした。ま、管理人のやることはこんなもんです。このままでは太宰府に申し訳ないので参考ページをご紹介します。こちらにはうっとりするほどきれいな画像もあります。

気を取り直して、フグを目指して出発です。またまた混沌の高速道路です。幾つかインターを降りそこねて、つぎで降りないと行き過ぎるという状態になりました。i氏は三車線を右に寄っていきます。おいおい、降りるのなら左に寄らなきゃ、と言う前に、右車線にインターの降り口が現れました。こんなのあり? いちばん右の車線から降りる高速道路なんて、わぁー本当に降り口だあ「何でもありだぞ福岡は!」

結局、かなり行き過ぎたので、先に管理人の今夜からのホテルに寄ることになりました。まだチェックインしていませんからね。(読んでいる皆さんはお疲れでしょうが、まだ二日目なのです)博多駅前のなかなか大きなホテルです。ロビーも広いし、自動販売機もないようです。さすが上から二番目のランクですな(でもバスローブが無かった…)。国際クラスと自称するホテルで、なぜか「屋台のラーメン券」を渡されました(旅行会社のサービスですって)。もしや、明日の朝食はこれか? なにしろ「何でもありだぞ福岡は!」

i氏の事務所の駐車場に車を停め(本日の走行距離は200kmを越えました。感謝!)、ちょいと事務所を見学しました。模型だらけです。さすがiTが嫌いなだけのことはあります。(でもコンピュータもズラリと並んでましたよ)久しぶりにi氏のデザインを拝見しましたが、ちょっと安心。いえ、いろんな意味で…。

タクシーで移動。フグのコースは評価を差し控えます。管理人は食べ慣れないので、よく分かりませんとご報告します。でも、たいそう豪勢でしたから、管理人に供するなんて、きっともったいない話です。店内にはトラフグが泳いでいました。白ワインとよく合いました。ボリュームいっぱいで食べ切れませんでした。ひさしぶりにi氏の建築論を聞きました。ちょっと安心。いえ、いろんな意味で…。楽しくてあっと言う間に閉店時間。クラブのOFF会みたいです。

細々したことは省略しましたが、いろいろあって充実した一日でした。それから、ホテルに戻って気が付いたのですが、昨日空港に着いてから今まで、さんざん飲み食いしたり、あちこち入場したり、タクシーで移動したりしましたが、管理人は一度も財布を出していませんでした。ひょっとして、これって大名旅行? 持つべきものは(i氏のような)友達ですな。感謝感謝...m(^_^)m

…つづく



自由行動の日…


自由行動の日です、月曜日は。
i氏は「仕事なんていいや」と言ってくれましたが、そうも参りません。丁重に辞退申し上げました(つぎの機会に備えてしっかり稼いでもらわねば…)。さて、まずは朝食です。やっぱりマイブームの朝粥だな。おお!さすが上から二番目、味も上がりましたがボリュームも大幅に増加です。貧乏性を全開にしても、ついに食べ切れませんでした。これ二人前じゃないの? 上品な盛り付けといい、お値段といい、高級料亭と思われますが、なんて太っ腹!(ちなみに連泊なので、翌朝は内容を変えてくれましたが、ボリュームは同じでした)

福岡に来て三日目にして、管理人は初めて地図を広げました(動くはずの屋台が地図に載っている…)。本日は自力で市内観光するのです。(これが、どれほど無謀なことか、管理人の方向感覚に詳しいトトロ殿におたずね下さい)。ちなみにホテルがあるのは祇園というところで、昨夜のフグ料理店は赤坂というところにあります。管理人は地理に弱いのであまり違和感はありませんが…。

じつは金印を見たかったのです、管理人は。でも福岡博物館は月曜休館。そんなもんです。というわけで、歩いて行ける手近なスポットは、キャナルシティとリバレインと天神(漢字で言えます)。ちょうど道順に並んでいるようですし、よろしいんじゃないでしょうか? てくてく歩いて、まずはキャナルシティです。

キャナルシティのシアターでは劇団四季のライオンキングをやってます。でも、(しつこいですが)本日は月曜日、休館ときたもんだあ。そんなもんです。ところで、テレビなどでも紹介されて結構有名なキャナルシティですが、管理人はこの手の建築は苦手です。このたびは、うちの奥さんにさんざん文句を言われたので、ますます苦手になりました。オリエンテーションが問題だったのです。行き止まりになったり、屋外に出ちゃったり、階段が見つからなかったりで、じつは奥行きの浅い、ロットに仕切られた建築なのだと判るまで、怒られっぱなしでした(なんで管理人が…)。奥さんはプンプンなので、噴水がウオッシュレットみたいだとか、赤い色彩が品がないとか、照り返しで品物まで赤く見えるとか(たしかに…)、営業時間中にクリスマスツリーを組み立てるのはケシカランとか、そのツリーが巨大すぎて向こうが見えんとか、もう身も蓋もなくけなします。

キャナルシティ

キャナルシティに、たいそう賑わっているお土産やさんがあったので、入ってみました。時宗まんじゅうがありました(やっぱり!)。明太子も様々なメーカーが並んでいます。でも定番と教えられた「ふくや」だけは見当たらない…。そんなもんです。ところで、管理人が東京名物と信じていた「ひよこ」は九州出身なんだぞ。ご存知でしたか? 閑話休題、ご当地グッズも沢山ありました。どんたくキティととんこつラーメンキティと明太君が目立ってました。

中央の水(これが運河でしょ?)を挟んで、グランドハイアットホテルが入っています。たいそう高級な内装で、お向かいさんが安普請に見えてします。ここでケーキセットを頼んで一休み、ほどなくコーヒーとお萩が出てきました。ううむ、ケーキセット…。それがきっかけになったようで、うちの奥さんのキャナルシティに関する率直な評論が再燃しまして、聞き終わったときには、管理人はコーヒーを4杯もおかわりしていました。気が済んだ奥さんはホテルの輸入雑貨のお店でまな板を買いました。なぜ博多でまな板なのかは分かりませんが、管理人はあえて尋ねませんでした。

…つづく




リバレインへ


おつぎは水のほとんどない博多川に沿って、遊歩道をリバレインへ。
最上階は巨大なアトリウムになっている建築ですが、それよりなにより、超高級ブランドが勢揃いしている、とんでもない建物です。ここまで集まっているのは東京にも無いのでは…。「ぶるがり」とか「ぐっち」とか「きっちょう」とか(あれ?)、管理人には無縁のブランドが下から上までぎっしりでして、家具なんかのお店もありましたが、値札がないので恐ろしくなりました(ちなみに、i氏はここの家具がご贔屓で、よく採用しています)。お客は数えるほどでしたが、ガードマンは大勢いました。このビルの名前は「スーパーブランドシティ」です。判りやすいけど、なんか凄いネーミングだなあ。こういうところに長居は無用なのですが、先手を打った奥さんが管理人を喫茶店に押し込んでしまいました。「ちょっと待ってて、見てきます」。管理人は鳥肌が立ちました。

山車の格納庫?
右奥がリバレイン
加辺屋で天せいろ

紅茶の専門店なので、結構退屈せずに済みました。ひとつの喫茶店なのに、禁煙室と喫煙室の2つの部屋に分けているというのも面白かったです。管理人はクリスマス用のブレンドだという紅茶を頼みました。一口飲むと頭の中で銅鑼が鳴りました。管理人が名付けるなら「博多どんたくアジア風」です。レッドペッパーが強烈に効いてます。その他、香草と綺麗な花びらが入っていました。ポットは気前が良くて、5杯飲んでもまだ入ってます。(管理人は相当の時間、鳥肌を立てていたわけです)。スコーンも頼みました。美味しかったですよ。ホイップクリーム(バターじゃなかった、と思います)とメープルシロップの煮こごり(としか言えません)が添えられていました。紅茶専門店なのにウーロン茶フェアをやってました。煎茶ブレンドの紅茶(?)もありました。もう「何でもありだぞ福岡は!」。だから、管理人は茶漉しを買いました。これで奥さんのまな板とバランスがとれます。ところで、このお店、砂糖もミルクもありませんでした。お水は最後まで出てこなかったし、砂糖とミルクについては聞かれもしませんでした。こういうのって、管理人は好みです。平凡は罪です。

奥さんが戻ってきました(妙に機嫌がよい上に荷物が増えているので、恐ろしくなった管理人は何も聞けず)、お隣の博多座をのぞいてみました。ここは歴史があるんですよね、九州が舞台の歌舞伎って多いですし、来月は大歌舞伎がかかるそうです。ええ、来月です…。今は花形歌舞伎の通し狂言、橋之助とか染五郎とかの若手4人がメインの「小笠原騒動」です。お値段は…う〜ん、歌舞伎座よりちょっと高めに思えますが…。でも、幕の内弁当もいろいろあるし、グッズ販売もあるし、ホテルオークラが隣だし、福岡の皆さんがうらやましいです。札幌には歌舞伎ないもの…。管理人は博多座の入り口横にある紀伊国屋書店(歌舞伎とか浄瑠璃とか古典芸能専門です)で2冊ほど本を買い、満足することにしました。

お腹がすいたぞ。
博多座の裏の通りに面した加辺屋で天せいろを頂きました。1100円で巨大エビ天2丁です。このお蕎麦やさんは出発前に管理人がチェックできた唯一の食事処です。新そば会の加盟店なので機関誌に載っていたのです。それによると御当主は福岡市長のお兄さん、その息子さんは東京ねりま田中屋で修行されたそうで、管理人はおおいに期待していたのです。大当たりでした。管理人はざるを追加注文した次第です。

足が痛いよお。
わずか一駅の区間を歩きたくなくて、管理人は地下鉄に乗りました。地下鉄のホームの案内に「天神方面は4番ホームからたくさん出ています」たくさんって…。それから、地下鉄の車内の広告には「福岡で結婚するなら、やっぱりメロン」…ハァ?

いちど地上に出て、デパートの閉店時間であると気づき、再び天神地下街に降りたら「八時で〜す」ってシャッターが一斉に降りてしまった…。奥さんはちょっとご機嫌斜めです。結局、屋台は豚骨の匂いで近づけずパスしました。せっかくのラーメン券が無駄になりました。ごめんちゃい。あちこちで路上ライブ、これも博多名物ですな。

さてさて、疲労困憊の管理人は、天神では何もできず、早々に地下鉄で博多駅まで戻りました。奥さんはますますご機嫌斜めです。その上、管理人は地下鉄の出口を間違えました。奥さんは相当ご機嫌斜めです。

…つづく



ただいま


朝の11時の飛行機に乗ります。(11時は管理人には朝です)
福岡空港は博多駅から地下鉄で二駅目、所要時間は5分です。凄い! ホテルを出て、すぐ横の地下鉄入り口へ(昨夜はここに出るはずだった…、それを思い出した奥さんがまた怒り始めた…)、ええと、ゆったりした地下の通路は左右に延々と伸びていまして、地下鉄に乗らなくても歩いてどこまでも行けそうです。博多駅まで歩いて5分、名店街に昨日購入したお土産(持ち歩くのが重かった…)が全部揃っているのを横目で見ながら(あ、奥さんが怒ってる…)ホームへ降りて、タイミングよく電車に乗り込み、合計15分で空港に着きました。

管理人は、窓側の席で、かつ、富士山側を確保しました(めでたい!)。ハイテク耳栓も装着しました(めでたい!)。定刻に離陸。福岡ドームが見えます。出来たてのシーサイドのリゾート施設群も見えます。管理人でなければ、これらを巡るのになんの苦労もありません。話の種になりそうな名所旧跡やちょっと足を伸ばすと話題の観光施設などが天こ盛りの九州です。機体は上昇を続け、雲の上に出ました。管理人は上から見る雲が好きです。普段は下側の暗い雲をみているわけですが、上から見ると明るくて柔らかそうで、特に今のように見渡す限りに雲が広がっていると、もうひとつの大地に立った気分になります。ですから富士山は見えませんでした。と申しますか、再び降下を始めるまで、雲しか見えませんでした。ことほど左様に、管理人の努力は報われないことが多いのです。だから、管理人は努力が嫌いです。

千歳空港は足が鍛えられます。自分の車と出会うまで30分、路肩に雪が残る高速道路を1時間、途中でお茶したので、着陸から2時間で我が家に到着しました。これは福岡までの飛行時間に相当します。これに5分を足すと博多駅なんですねえ…。

大きな荷物はホテルから発送しました。旅行会社が宅配便の無料チケットをくれたんです。無駄はいけませんから活用させてもらいました。省資源です。ただ、この時節柄、国内貨物も普段より時間を要するとのことで、北海道までは三日かかると受付で言われました。身に覚えのある管理人は、よーく判りますと答えた次第です。その宅配便は次の日の朝に届きました。24時間しか掛かってない…。もしかするとこの荷物、管理人と同じ飛行機に乗っていたんじゃないか? なんたって「何でもありだぞ福岡は!」

おしまい