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ファイル共有って便利ですよ
vwucTokyo

VectorWorks User Club Tokyoには凄い人たちがいます!

クマ(河野)会員は
こんな事を軽々とやっちゃいます。

ヒントとテクニックが満載の
ファイル共有とScript活用の実践レポートをとくとご覧あれ!


VectorWorks User Club Tokyoとクマ(河野)会員のご好意により、
東京のBBSから転載編集させて頂きました。ありがとうございました。(編集責任:管理人)



約300支店1000フロアー程の図面
先ずは与件
DWG取込み
データの整理をScriptで
ファイル共有
サーバーの置き方
カラーの図面
VW様様
ファイル共有・・・その後


約300支店1000フロアー程の図面

 ちょっと、今関わっている物件で、初めてファイル共有機能を使うことにしまして、いろいろ実験をしましたので、その報告です。

今回の物件は某社の全国支店の改装工事に伴い、約300支店1000フロアー程の図面を仕上げるというものです。で私のかかわり方は、その図面作成のワークフローに関するコンサルと、作業軽減と、効率化、及び、正確さの為のスクリプトの作成。それから図面の作成、と言ったところです。

 さて今回の物件に関しては幸い早い段階からコンサルとして関われたことで、私の意見をある程度は反映させることができましたので、思いきっていろいろと試すことができました。

先ずは与件

 先ずは与件ですが、

 1、元データは平面図がDWGデータとして使用できた。
 2、コンペに通ったコンセプトモデルにそって、多くの既存部分を残
   し、主要な物のみを改装する。
 3、あくまでもデザインが中心の会社なので施工図に関しては施工の
   会社に任せている(ようだ)。
 4、LANやその他の電気配線などは専門の業者にまかせれている。
 5、最終的にはDWG(AUTOCAD)ファイルも用意しなくてはならない。
 6、デザインの細部はまだ固まっていないので、機能をみたすための
   レイアウト作業から図面の作成を進め、各段階で、クライアント、
   さらには支店ごとにチェックが入り、機能や人員数などに関して
   変更が発生する。

 といったところです。

DWG取込み

 さて、先ずはDWG取込みですが、これはデザイン会社さんのアルバイトさんが、一生懸命作業をした後だったので、スクリプトの出番はありませんでした。
(AppleScriptとKeyQuencerとVectorScriptを組み合わせて、全部を自動でできるのに、この時点では私が関わっていなかったので)

データの整理をScriptで

 続いて取り込んだデータの整理です。これは、取り込んだことがある方は御存じだとは思いますが、要らないレイヤーがあったり、VWでなら同じレイヤーに配置しそうなものを、BLOCK(VWのシンボルに相当する機能)の中のデータのもち方の特性で、それぞれ別のレイヤに入れてあったり、なんだか妙な色が付いていたりと、そのまま使うには抵抗があるような感じになってしまいます。(レイヤーの数が4、50になったりして、選ぶのも一苦労)

そこでやっとスクリプトの出番です。

 1、何も入っていないレイヤーを削除する。
   ・これは不要情報削除でも簡単にできます。
 2、全てのレイヤーのスケールを1/100に統一。
 3、新しく20程のレイヤーを追加し、取り込んだデータの内で、
   必要なデータを新しいレイヤーに整理しながらコピーする。
   ・いつどのような変更が発生するか分からないので、既存のデータは
    そのまま残すために、必要なデータを新しいレイヤにコピーして、
    変更作業はそこで行うため。
    これはDWGデータの方で、ある程度きちんとレイヤーの名前の
    使い方が統一されていたので可能でした。
 4、線の太さの整理とフォントを変更。
   ・最終的にDXF吐き出す時に既存のデータと変更したデータの
    色をかえるために、あらかじめ既存のデータと、配置されてい
    ないシンボル内のものも含めて、全ての線の太さを変更。
   ・PSプリンターのため、OSAKAは角度が付いていると、印
    刷位置がずれるので、取り込んだシンボル内の文字を含めて、
    全ての文字をプリンターのPSフォントに変更。
 5、取り込んだシンボルと、新しい物を見分けやすくするため、
   シンボルを、シンボルフォルダに整理する。
 6、原点を用紙の中央にそろえる。
 7、図面枠を張り付け、ファイル名から判断して、タイトルやコード
   等を自動的に入力する。

 取りあえず最初の最初のスクリプトでやらせるのは、もうちょいあるのですが、おおよそはこんなところです。

 ここまでで、DXFの受け渡しや、出力など最終行程までを試すためにバイトさんが手でやると、レイヤーの数やなどにもよりますし、なれていない作業と言うこともありますが、およそ2時間。しかもシンボル内の線やフォントの変更は無しでもこの時間がかかりました。ですがスクリプトなら、若干、例外のレイヤーの処理が残ったりもしましたが、それでも約30秒。う〜〜ん、スクリプトの偉大さを実感します。

 ついでに図面枠にはシンボルへのレコードのリンクを使いました。
 これはせっかく枠をロックして動かなくしているのを、いちいち解除してグループに入ってタイトルを変えたりするのは億劫ですし、変えた部分の文字が違うフォントになってしまったりするのがいやですし、レコードパレットで変えると、文字の大きさやフォントが変わってしまうこともありませんので、直す手間が省けるからです。(あとあとスクリプトで制御しやすいということもありますし)

ファイル共有

 さて長くなってきましたが、ここからがこの主題のファイル共有に入ります。
 今回、ファイル共有を使うことに決めたのには、2つの理由がありました。

 一つはオーソドックに他のファイルからレイヤーごとリンクして使うことで作業を進めやすくなる、ということです。
 これは他社で進めてもらう、電気や通信の配線などのレイヤを別に作ってもらうことを前提にしています。
 このために、相手が使っているのがAutoCadなので、データを書き込むレイヤーの名前を予め決めておくことで、一度共有してしまえば、VWのデータに変換して、所定のフォルダに投げ込んでしまえば、反映されるので、幾つものレイヤーからコピーして持ってくる、などという煩わしい作業をしなくてもすむので、大変便利です。

 もう一つは、什器や機器類などの細かいデザイン、仕様が決まっていないが、レイアウトはすすめなくてえはならないという、面倒な与件によって、このファイル共有を使うことにしました。
 というのは、このファイル共有で取り込まれたレイヤーに載っているシンボルは同時に共有され、他のレイヤーにも配置できる、という特徴を使うためです。
 例えば、ある机には、後でこういう備品が付け加わることになった、とか、書き込む文字情報の内容が変わった、などといったとき、シンボル用のテンプレート上の1セットを書き替えるだけで、ファイル共有している1000枚の図面が自動的にかきかわるからです。う〜〜んすごい。

サーバーの置き方

 さて、このコラボレーションを円滑に進めるために、ということで提供された機能を使うのに、気になるのはサーバーの置き方でしょう。多くの場合、設計者はサーバーと言っただけで拒否反応を起こすのですが、この機能はそれほど複雑なリンクをしているわけではないようです。

 Win版も配慮してでしょうが、共有しているファイルへの参照は、Mac特有のエイリアスのコードではなく単純なファイルのパスで覚えているだけのようで、指定したフォルダに指定した名前の共有元ファイルがないと、もう一度リンクし直せよ、と聞いてきます。ですから、サーバーを自分のMacにマウントしていなければリンクを聞いてきますし、マウントしていなければリンクしなおせよ、ときいてくるのです。

 ですから、例えば外注さんに同じパスを再現させるのは、などと面倒なことを考える必要はありません。単純にリンク元のデータも一緒にメールで送って、聞いてきたらこのファイルを選んでね、と言っておけばいいのです。で、送り戻されてきたら、最初に開くとまたリンクし直して、ときいてくるので、自社のサーバーにあるリンク元を指定し直せばいいのです。これなら外とのコラボレーションの為にいちいち外からもアクセス可能なサーバーを用意しなくてはならないなんて、煩わしいことなしに、この機能が使えるわけです。

カラーの図面

 さてここで思わぬ副産物。
 実はクライアントの企業では、チェック用に提出した図面をコピーして担当者に配付しているのですが、そのさいに、白黒のコピー機しか使えないので、カラーの図面では潰れて分からなくなってしまうので、使わないでほしい、ということでした。
 しかしデザイン作業のあいだ、あるいは本部の少数の担当者との打ち合わせの間は、カラーの付いた物のほうが、視認性が高く、また間違いも減ります。そこでまたこのファイル共有が活躍します。
 このおかげで、同じ名前のシンボル用のテンプレートを用意して、それぞれ、色付き、白黒網表示、文字無し、文字ありなどの何種類かを用意しておいて、テンプレートファイルを入れ替えることで、シンボルの表現まで、一発でかえられます。お〜〜〜。

VW様様

 この物件では、後はDWGから持ち込んだので、いろいろと名前が違っているレイヤーから、今回の作業用のレイヤだけを表示させたり、レイヤーの名前の先頭のコードごとに一発で表示を切り替えるスクリプトや、定型で大量に書き込まなくてはいけない文字列を、指定の書式やサイズや色でスタンプの様にポンポン置いていけるようなもの、選んだシンボルと同じ名前のシンボルを一括で置き換えるものなどを作りました。
 いや〜〜〜、こうなるとVW様様です。

 後はワークシートによる集計なども当然起こってきます。
 その為に、まだ全てのシンボルにレコードを自動的に振っていくスクリプトや、面積をはかって、文字のレイヤーに指定の書式で書き込むスクリプトなど、まだまだ作らなくてはならない物も残っているのですが、その辺は、もうちょっと作業が進んでからになります。その頃にはまたファイル共有の別のいかし方も発見しているかも知れないので、また報告させていただきます。

 いや〜〜〜、ちょっと報告しようと思っただけなのに、その便利さを説明するのに背景まで書きはじめたら、これがまた長文になってしまいました。
 ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。

ファイル共有・・・その後

 全体的に観て、ファイル共有はうまくいっているのですが、問題点もでてきましたので、報告です。

これはファイル共有が問題というよりも、なんとなくVWのメモリー管理当たりに問題がありそうな雰囲気なのですが、シンボルを登録したテンプレートに異常が発生するという現象が起こっています。

具体的には共有したファイルを開き直すと、共有されたテンプレートファイルに載っているシンボルの色が変わってしまう、ということが起こって、その現象を追っかけていて、分かってきたことなのですが、とにかくシンボルが壊れていて、そのせいで共有先で異常が起きているようなのです。このテンプレートファイルに載せてあるシンボルの異常ですが、以下のような現象でした。

1、リソースパレットに表示されているアイコンが真っ黒になっている。
2、おかしい物を確認するためにVectorScriptで書き出して読み込
  んでみると、エラーが起こり、部分的に図形が崩れている。
3、崩れているシンボルを別ファイルにコピーして、そのシンボルの
  中で全ての図形を描き直してもエラーは直らず、物によっては吐
  き出すことさえできなくなる。
4、吐き出し、読み込みが確認されたシンボルが載っているファイル
  に異常な物を1つコピーすると、他のシンボルまで異常な状態に
  戻ってしまう。

 いったい何が、という感じですが、VSの文法が厳密になったことで、エラー図形のフィルタとして使うのが大変になってしまいました。
これからしこしこといろいろ試してはみますが、自分で作ったファイルではないので、そもそもなんで壊れたのかが分からないので、ちょっと恐いですよね。
う〜〜〜〜ん????。